日時 2003年10月10日(金) 13:00-14:30
場所 京都大学教育学部第1講義室
企画者 吉川左紀子
講演者 今井むつみ (慶應義塾大学環境情報学部)
ことばの意味の獲得に制約となるもの-名詞・動詞をめぐって-
講演要旨
一般には、大人がひとつひとつのことばを丁寧に繰り返し教え込むことによって子どもはことばを学習していくと、考えられているかもしれない。しかし、実際には子どもはことばがその指示対象の少数の事例(多くは一事例)と結び付けられるのを観察するだけである。一事例に対する漠然とした指差しから発話されたことばの意味を推論することは論理的には不可能なことである(Quine,
1960)。にもかかわらず、子どもは、2〜6歳の間に、一日平均6語、多い時期には10語も新しいことばを覚えるといわれている。
本講演では名詞と動詞に焦点をあて、子どもがどのような知識と方略(制約)を用いて一事例からことばの意味を推論しているのか、その知識や方略が発達的にどのように変わるのかなどについて議論する。