Do 9-month-olds perceive causation-at-a-distance?
(9ヶ月児は距離をおいた因果的作用を知覚するか?)
Schlottmann, A. & Surian, L.
Perception , 1999, 28, 1105-1113.
人間は、機械的なイベントには接触によって相互作用する物理的な物体が存在すると理解し、意図的なイベントには距離をおいた相互作用をしうるagentの存在をみとめる.我々は、一体のagentがもう一体のagentに対し接触無しで反応するような簡単なイベントを用い、それに対する乳児の反応を調べた.まず、9ヶ月児に、アニメーションの赤い正方形が緑の正方形に向かって伸び縮みしながら−キャタピラのように−動くイベントを呈示し、馴化させた.このイベントには次の2種類があって、ひとりの乳児はどちらか一方に馴化することになる.まず、reaction eventでは、緑の正方形が、近付いてくる赤い正方形が静止する前に動き始める.一方、pause eventでは、緑の正方形は赤い正方形が停止してから動き始める.馴化後、各乳児は、馴化イベントの逆再生を呈示された.このテストでは、reaction eventとpause eventに同様の時空間的な変化が起こるが、reaction eventに関しては、赤と緑の因果的な役割の交代も起こることになる.結果、乳児はreaction eventの逆再生には脱馴化を示したが、pause eventでは脱馴化は見られなかった.このことは乳児が、距離をおいた因果的作用を知覚したことを示唆する.これを知覚できることが社会的認知や心の理論の発達を支えると考えられる.