No.104-1(2000/2/10)


Carrying, sharing, and hand preference in Tufted Capuchins(Cebus apella).
(フサオマキザルにおける運搬、食物共有、そして利き手)

Westergaard, G. C., Haynie, M. K., Lundquist, A. L. and Suomi, S. J.
International Journal of Primatology, 1999, , 20, 153-162

フサオマキザル(Cebus apella)において運搬、食物共有、そして利き手の関係を調べた。初期の人類進化に関連した行動をさぐるための霊長類モデルとして、PanにかわるCebusの使用を引き続いて評価することが、研究の理由であった。まず我々は確立された社会グループ内で、2足歩行と食物共有について調べた。次にサンプルを拡大し、食物を運搬する際の利き手の方向性(左右どちらか)と強度について調査した。フサオマキザルの行動におけるいくつかの局面は、議論の余地がある。まず最初に、2足歩行でものを運搬するという行動、食べ物を他者と共有するという行動は、大きい食べ物が与えられたときの方が小さい食物のときより、より頻繁に生じた。第2に、食べ物を共有する現象は、積極的に分け与えるというよりむしろ、共有を許容しているものと特徴づけられた。第3に、被験体は主に未成熟個体と食物を共有し、お互いにやりとりするパターンで共有していた。最後に、3足歩行でものを運ぶとき、種全体としては利き手がないということがわかった。Cebus、Pan、Homo間における行動類似性の系譜は収斂過程で進化したとすると、オマキザルはこの点で初期人類の行動進化を探る霊長類モデルとして、チンパンジーのかわりにになりうるかもしれないと仮定した。

(徳久)