How monkeys see the eyes: cotton-top
tamarins' reaction to changes in visual attention and action.
(サルはどのように目を見るのか:視覚的注意と行為が異なる場合のコットントップタマリンの反応)
Santos, L. R. & Hauser, M. D.
Animal Cognition , 1999, , 2, 131-139.
社会的な種において、しばしば他者の視線の方向は他者が何に注意を向けているか、他者の次の行動がどのようになるのかを予想するので、他者が見ている方向を検出する能力は、適応的である。我々は、コットントップタマリン(Saguinus oedipus oedipus)が、他者の次の行動を予測するために、他者の視線方向を使用するかどうかを、予測に反する手続き(an expectancy violation procedure)を用いて調べた。被験体は、演技者(ヒト)がテーブルの上の2つの物体のうち1つに対して注意を向けた後、その物体に触る、という場面に馴化した。馴化に続いて、2つのテスト場面を導入した。1つ目のテストとして、演技者は、新しい物体(馴化の場面で見ていた物体とは異なる方の物体)をじっと見た後で、その物体に手を伸ばした。ヒトの知覚では、この場面は、視覚的注意と次の行動、つまり注意を向けた物体をつかむという行動の間の因果関係に矛盾しないと考えられる。2番目のテストでは、演技者が古い物体(馴化の場面で見ていた物体)をじっと見た後で、新しい物体(見ていない物体)に手を伸ばした。この場面は、予想に反すると考えられる。演技者が、頭の方向と目線方向の両方で向いたとき、被験体は、演技者が見ていなかったほうの物体に手を伸ばした場面である2番目のテストの方を、有意に長く注視した。しかしながら、演技者が、目線方向だけを使ったときには、注視時間においてテスト場面間での差はみられなかった。これらの発見は、タマリンは、作用者(ヒト)の次の行動を予期するために、頭の方向と視線の方向を組み合わせて使うことができるが、視線方向だけを手がかりにすることはできないことを示唆するものである。