No.428-1(2007/5/24)
Kin discrimination in sticklebacks is mediated by social learning rather than innate recognition.
(トゲウオにおける血縁識別は生得的な認識よりも社会的学習によって媒介される)
Frommen JG, Luz C & Bakker TCM (2007)
Ethology, 113:276-282.動物が血縁を認識することの利点が理論によって予測されている。これらの利点には近親交配を避けたり包括適応度を上げることが含まれる。群れをなす種において血縁認識は群れの構成員の中での利他行動を増加させるかもしれない。大人の非繁殖期のイトヨ(Gasteroteus aculeatus)は血縁個体と群れることを好む。この好みは見知らぬ個体に対してだけでなく知っている個体に対しても示されてきた。しかしながらこれが知っている個体の手がかりを学習したことによるのか、自己を参照した表現型の適合や対立遺伝子の認識を通した「真の」血縁認識などの生得的なメカニズムによるのかは分かっていない。我々の実験では若い魚に血縁度と親密さが異なる群れの選択をさせた。それぞれの群れと一緒になった魚の数からトゲウオはもうひとつの群れが見知らない非血縁個体から成る時には見知っている血縁個体と群れることを好んだ。片方の群れが見知っている血縁個体から成り、もう片方の群れが見知っている非血縁個体である時には魚達は好みを示さなかった。トゲウオにおける血縁認識は社会的学習によって媒介されている可能性が最も高い。
発表者:森本