No.429-1(2007/5/31)
Selective imitation in domestic dogs.
(イヌにおける選択的模倣)
Range F, Viranyi Z & Huber L (2007)
Current Biology, 17: 868-872.文化的知識の伝達は、他者の技術を観察した際に、どのような関連する情報を保持し、選択的に模倣するのかを同定することを学習者に要求する。ヒト乳児は、言語や心の理論に頼ることなく、すでにこの能力を示す。例えば、もしコミュニカティブな文脈で、モデルがより効果的な手の動作の代わりに頭の動作を行い、モデルがそうすべき十分な理由がなかったならば、乳児は頭の動作を模倣する。つまり彼らの模倣というのは選択的な理解の過程であると示唆される。分かりやすいコミュニカティブな手がかりや目標志向的行動に対する効果への早期の感受性というのは、このような関連性に導かれた(relevance-guided)選択的模倣に対して決定的に必要なものであると考えられる。この能力はヒト特有のものと考えられているが、ここではイヌにおけるこれと類似した能力を示す。我々の実験において、被験体のイヌはデモンストレーターのイヌが、より好まれる口での行動ではなく、手で棒を引くところを観察した。第2群ではデモンストレーターの選択を説明する制約などは何らなかったが、第1群では“非効率的”な行動を用いることは、モデルが口にボールを持っていることで正当化された。観察後の第1試行で、第2群においてのみ、好まれない行動をイヌは模倣した。結果として、イヌは子どものように、推論による選択的な模倣をした。
発表者:高岡