No.430-1(2007/6/7)
Metacognition in the Rat.
(ラットにおけるメタ認知)
Foote AL & Crystal JD (2007)
Current Biology, 17: 551-555.自身の心的プロセスを認識する能力――メタ認知――は、ヒトという存在を規定する特質の1つである。したがって、ヒト以外の動物が自身の認知的状態に関する知識を持つか否かは、比較認知研究における基本的問いの1つである。最近の研究から、ヒトとヒト以外の霊長類はメタ認知が可能だが、より「認知的に洗練されていない」種はそれができないということが示唆されている。ここで我々は、ラットにメタ認知が可能であることを初めて示す。すなわち、時間長弁別テストにおいて、彼らは自身が答えを知っているときと知らない時を知っている。時間長テストをする前に、ラットはテストを回避する機会を与えられた。回避する機会が与えられない場合もあった。時間長テストにおいて正しい反応をすると大きな報酬が与えられ、間違った反応には報酬が与えられなかった。テストを回避すると確実に小さな報酬が与えられた。もしラットがテストの答えを知っているか否かを知っているなら、難しいテストでは回避の頻度が増え、回避することのできない難しいテストでは成績が低下すると考えられる。我々のデータは、この2つの予測どおりであった。つまり非霊長類の1動物種は、自身の認知的状態を知っていることを示した。
発表者:藤田