No.432-2(2007/6/21)

Great apes' understanding of other individuals' line of sight

(大型類人における他者の視線の先にあるものの理解)

Okamoto-Barth S, Call J & Tomasello M (2007)
Psychological Science, 18: 462-468.

先行研究では、多くの社会的な動物が他者の視線を追従することを示している。しかし、この能力の種差、および、その能力とヒトとの遺伝的関係に関しては、断片的にしか知られていない。この類人の視線追従研究において、我々は視覚的な障害の性質と目標物の有無を操作した。ボノボ、チンパンジー、ゴリラはヒトの赤ちゃんと同様に、障壁に窓が付いている場合に、そうでない場合よりも多く視線を追従した。また、ボノボとチンパンジーはその他の種よりも、障壁に窓がない時、実験者側の障壁をよく見た。さらに、ボノボは、窓がある時よりも、不透明な障壁のときにより多くdouble lookを示した。このことは、他者の見ているものが何であるかの理解をしていることを示す。ヒトからもっとも遠い種であるオランウータンは、こうした傾向をほとんど示さなかった。その代わり、オランウータンは実験者の視線ではなく、ターゲットが存在する場所に注意を惹かれていた。類人の視点取得の技術は、ボノボ、チンパンジー、ヒトへと続く進化的な系統の流れの中で増加してきたのであろう。

発表者:高橋