No.433-1(2007/6/28)
Perception of the stereokinetic illusion by the common marmoset (Callithrix jacchus)
(コモンマーモセット(Callithrix jacchus)による立体運動錯視(stereokinetic illusion)の知覚)
Clara E, Regolin L, Vallortigara G & Rogers L (2007)
Animal Cognition, 10: 135-140.立体運動錯視(stereokinetic illusion)は、これまでヒト以外の霊長類及び哺乳類では調べられてこなかった。この錯視は、ある2次元刺激が視線に垂直な平面内でゆっくりと回転しているときに、3次元物体が知覚されるというものである。コモンマーモセット(Callithrix jacchus)が立体運動錯視を知覚できるかを調べた。4個体の大人のマーモセットに餌を報酬として、円柱と円錐の弁別訓練を行った。学習基準に到達した後、訓練で使用した円柱・円錐の代わりに、2つの回転している2次元刺激を置いたプローブテスト8試行を実施した。少なくともヒトでは、2つの2次元刺激のうち、訓練で強化された3次元物体に対応する刺激に対してのみ立体運動錯視が生じる。テストでは、マーモセットのさまざまな行動と各刺激を観察しているときの総滞在時間を記録した。訓練で強化された3次元物体に対応した立体運動錯視を生じさせる2次元刺激の近くに被験体が滞在した時間は、訓練で強化されなかった3次元物体に対応した錯視を生じさせない2次元刺激の近くに滞在した時間よりも長かった。つまり、コモンマーモセットはあたかも立体運動錯視を知覚できるかのように行動していた。
発表者:中村