No.437-1(2007/7/26)

Perception of the Muller-Lyer illusion in capuchin monkeys (Cebus apella)

(フサオマキザルにおけるミュラー・リヤー錯視知覚)

Suganuma E, Pessoa VF, Monge-Fuentes V, Castro BM & Tavares MCH (2007)
Behavioural Brain Research, 182: 67-72.

錯視とは、ある図形に対する知覚と実際の物理的特徴とが異なることである。ミュラー・リヤー錯視は最もよく知られまた研究されてきた幾何学錯視であり、一組の平行な、両側に外向き矢羽がついた線分と両側に内向き矢羽がついた線分とに対する判断の際に生じる錯視である。矢羽が誘導因子としてはたらくことで線分が違った長さに知覚され、内向き刺激が長く見える。本研究は新世界ザルのフサオマキザル(Cebus apella)におけるミュラー・リヤー錯視を明らかにすることを目的とする。フサオマキザルにおけるミュラー・リヤー錯視は未だ明らかにされていない。刺激はタッチスクリーンモニター上に呈示した。大人10個体(5個体がオス、5個体がメス)を用いた。テストの前に、矢羽がついている、あるいはついていない2本の物理的に長さの異なる線分を弁別することを訓練した。長い方の刺激が常に正(報酬を受けられる)刺激であった。ミュラー・リヤー錯視テストにおいて、全ての個体が性差関係無しに内向き矢羽のついた刺激をより選択するという、錯視知覚をしていると考えられる反応をした。錯視量を分析するため、主観的等価点テスト(PSE)をおこなった。矢羽無しのPSEの値は矢羽有りのPSEの値よりも小さかった。矢羽の存在とその向きによって線分の長さ知覚に影響を受けたため、フサオマキザルはミュラー・リヤー錯視を知覚することが示された。

発表者:渡辺