No.439-2(2007/8/9)
Vigilance during food handling in grey squirrels, Sciurus carolinensis
(ハイイロリス(Sciurus carolinensis)における食物保持中の警戒行動)
Makowska IJ & Kramer DL (2007)
Animal Behaviour, 74: 153-158.食料を探索してそれを持っている間、その頭を低くする動物において、食料探索行動と警戒行動は相容れないが、頭を上げたままで食物を持つ動物において、これらの活動が相容れないかどうかはあまり明らかではない。これらの種では、食料探索のプロセスの少なくとも一部は、警戒行動と身体的に両立する。それにもかかわらず、警戒行動と食物保持の両方が認知資源を必要とするため、動物はその頭を上げている時はいつでも、警戒的ではないかもしれない。我々は、半直立姿勢をとり、食物を前足で保持している時に、ハイイロリスが警戒しているかどうか調べた。もし、食物保持中に警戒するのなら、部分的に視界が遮られた場所で食物を見つけたリスは、視界を改善するために保持する前に場所を変えるだろうと我々は予測した。このテストでは保持中の警戒の利益が移動コストよりも大きいと仮定しているので、食物摂取量の割合において、位置変更の一時的コストが比較的高い小さな食物(ヒマワリの種)と、位置変更コストが比較的低い大きな食物(ピーナッツバター付きのクラッカー)を我々はテストした。クラッカーを持つ時、コントロール群やその頭上の視界を妨げられたリスよりも、食物提示場所で側面の視界が妨げられたリスの方がより頻繁に、視界がいい場所に移動した。ヒマワリの種を持つ時、リスはその位置を決して変えなかった。これらの結果は、半直立保持中のリスは警戒するが、もしそれが高い食料探索コストにつながるのならば、警戒を犠牲にするかもしれないという見方を支持している。
発表者:上垣