No.511-2(2009/03/12)

Informative breath: Olfactory cues sought during social foraging among old world monkeys (Mandrillus sphinx, M. leucophaeus, and Papio anubis).

(情報を伝達する息:旧世界ザル(マンドリル、ドリル、アヌビスヒヒ)が社会的採餌中の匂い手がかりの探索する)

Laidre, ME. (2009)
Journal of Comparative Psychology, 123, 34-44.

社会性によって、動物は、他者から情報を獲得し、学習するという社会性に特異的な機会を与えられる。特に、試行錯誤的に食物を選択することが致命的になるかもしれない採餌場面において、同種は重要な情報源になり得る。6年間に及ぶ、飼育下、半飼育下、野生下の旧世界ザルの研究で、旧世界ザルが、他者から嗅覚情報を集め、自分自身の採餌の決定を導くかどうかを調べた。3種の旧世界ザル[マンドリル(Mandrillus sphinx)、ドリル(M. leucophaeus)、アヌビスヒヒ(Papio anubis)]のそれぞれが、個体が他者の口の中を匂いを嗅ぎ、それにより、匂いを嗅がれた個体が何を食べたのかを決定することのできる、くんくん行動(muzzle-muzzle behavior)を明確に示した。このくんくん行動は以下のような特徴を示した。(1)ナイーブな若い個体から、より経験豊富な年上の個体に対して向けられた。(2)匂いを嗅がれる方がものを噛んでおり、それにより最も強力な化学的手がかりが発せられる時に生じた。(3)匂いを嗅いだ個体は、嗅がれた個体が食べていたものと同じ種類の食物を消費した。(4)新奇な食物が含まれる実験場面で最も明確に生じた。(5)新奇な食物が既知なものへと変わると減少した。情報の獲得にかかわると考えられる証拠とは対照的に、くんくん行動が社会的なディスプレイであることを示唆するこれまでの提案を支持する証拠は得られなかった。むしろ、雑食性で、緊密な社会生活をするマンドリル、ドリル、アヌビスヒヒのこれらの行動は、情報獲得の一形態として収斂したものかもしれない。すなわち、安全な食べ物を決定するために、同種の息に含まれる知識を探索しているのである。

発表者:高橋