No.684-2(2012/12/27)
Cross-modal individual recognition in domestic horses (Equus caballus) extends to familiar humans.
(ウマにおけるクロスモーダルな個体認識は馴染みのあるヒトにも拡張される)
Proops L & McComb K (2012)
Proceedings of the Royal Society B, 279: 3131-3138.
近年、ヒト以外の動物でも同種他個体をクロスモーダルに認識していることが示されてきた。この認識システムがどれほど可塑性のあるものかは明らかになっていない。本研究で我々は、ウマが形態的に非常に異なる種の個体について、自発的にクロスモーダルな認識ができるかを検討した。我々は同時に、この重要な社会的スキルに半球差があるか否かを検討することによって、クロスモーダルな個体情報がどのように処理されているかについての新しい知見を示す。我々は選好注視パラダイムを用いて、被験体に2人のヒトと彼らの声を呈示し、声とヒトをマッチさせることができるか否かを検討した。馴染みのハンドラーを呈示された場合、被験体はヒトと音声を正しくマッチさせることが出来た。声と一致するヒトがウマから見て右側に立っている場合、ウマのマッチングの成績は有意に高かった。このことは、この能力に著しい半球優位性(左半球バイアス)があることを示している。これらの結果は、動物におけるクロスモーダルな認識が、系統的に非常に離れた種にも拡張されうることを示す最初の結果である。本結果はまた、左半球によって司られる過程が、自然な状況下で馴染みのある個体の視覚情報と聴覚情報をクロスモーダルにマッチさせる能力に重要であることを示している。 発表者:堀