Approachability and the amygdala: Insights from Williams syndrome.
(親しみやすさと扁桃体:ウィリアムズ症候群からの知見)
Martens, M. A., Wilson, S. J., Dudgeon, P., & Reutens, D. C. (2009).
Neuropsychologia, 47, 2446-2453.



要約

ウィリアムズ症候群(WS)は超社交性という独特の特徴を持つ遺伝的な神経発達障害である。扁桃体は社会性の基礎となる神経システムの不 可欠な要素であると仮定されてきたことから、研究者はWS患者で見られる異常な扁桃体の容積が彼らの超社交性において何らかの役割を担 っているかもしれないと提案してきた。本研究の目的は、生活年齢・性別・利き手で統制された22人のWS患者と22人の健常者において、扁 桃体の容積と親しみやすさ(approachability)評価によって測定された超社交性の間の関係を検討することである。我々は、WS患者は扁桃体 の容積が増加しているということと「好意的な」顔・「好意的でない」顔両方で親しみやすさを高く評定するという先行研究の知見を確認 した。右の扁桃体の容積と親しみやすさ評価(特に「好意的でない」顔の評価)の正の関連がWS患者で見られた。結果は、予想外に、WS患 者が親しみやすさを決定する際、特に年少の参加者で、目や口以外の特徴を使って報告していることを明らかにした。これらの知見は、WSに おける扁桃体の機能不全が彼らの超社交性に関連しているという理論を支持する。更に、我々は、WS患者が親しみやすさを決定する際、健 常者と比べて、通常とは異なる認知戦略を使用しているということを提案する。