Complementary systems for understanding action intentions
(行為の意図理解のための相補的なシステム)
De Lange, F. P., Spronk, M., Willems, R. M., Toni, I., & Bekkering, H.
Current Biology, 18, 454-457, 2008
要約
ヒトがいかにして他者の行為の意図を理解するかは論争上にある。ある研究者は、意図はミラーニューロン
システムによる観察された行為の運動シミュレーションによって認識されると提案している。他のものは、
意図の認識は、運動システムの外部にある領域を活動させる推論プロセス―たびたび“メンタライジング”
と呼ばれたり、あるいは“心の理論”と用いられたりする―であると強調する。ここで、我々は、機能的脳
イメージングを介して、行為の意図理解のための、運動シミュレーションとメンタライジングに関する脳領
域の寄与を査定する。結果により、下前頭回(ミラーニューロンシステムの一部)は、被験者が行為の意図
に注意を払っているかどうかに関係なく、行為の視覚的特性に基づいて観察された行為の意図を処理してい
ることが明らかにされた。逆に、“メンタライジング”ネットワークの一部である脳領域は、被験者が観察
された行為の意図について内省しているときに活動し、観察された行為の視覚的特性にほとんど左右されな
かった。この結果は、運動シミュレーションとメンタライジングが、他者の意図の認識において、異なるが
相補的な機能を持つという仮説を支持する。