What part of an action interferes with ongoing perception?


Zwickel, J., Grosjean, M. & Prinz, W. (2010)
Acta Psychologica, 134 (3), 403-409.



要約

 近年の研究では、一致した知覚と運動との間に特定の干渉効果があることが示されてきた。 この事実に従って、われわれはある特定のパラダイムにおいてこの効果が見られるかという 可能性について調べた。具体的には、特定の方向への運動と、それと一致した方向への刺激の 動きを判断する課題との間で干渉効果が現れるかどうかを調べた。このようなパラダイムでは、 通常、知覚する刺激の動きの方向と運動の方向が一致しているときに反発しあう効果がみられ る。本研究のひとつめの疑問点は、受動的な手の動きでも反発効果を引き起こすために十分で あるかという点である。受動的運動の場合、被験者の手の動きはロボットによって引き起こさ れる。実験の結果、受動的な動きでは反発効果を引き起こさなかった。これは、視覚と自己受 容感覚情報との統合のみでは反発作用を引き起こすために十分ではないことを示す。しかし、 自発的な運動、すなわち被験者自身が運動を意図していたような場合には反発効果が現れた。 2つめの実験では、被験者の運動はときどき予想外のタイミングでロボットによってブロック された。その結果、動きがブロックされた条件では反発効果はみられなかった。これらの結果か ら、運動を意図すること(実験1)と実際に運動を実行すること(実験2)が、持続的で同時に起 こる知覚-運動課題において特定の干渉を引き起こすために必要であることが明らかにされた。