Episodic future thinking in 3- to 5-year-old children:
The ability to think of what will be needed from a different point of view
(3〜5歳児における未来についてのエピソード的思考:このあと何が必要かを異なる視点から考える力について)


Russell, J., Alexis, D., & Clayton, N. (2010)
Cognition, 114, 56-71.



要約

 子どもにおいて、これから用いるための道具を選択するという状況でのエピソード的な未来に ついての思考を調べるとき、未来のエピソード的思考というよりはむしろ未来についての機能的 推論について調べているのかもしれない。この問題を避けるための試みとして、エピソード認知 では必ず空間的形式を持つ(Clayton & Russell, 2009; Hassabis & Maguire, 2007)という事実を 利用した。われわれは、3・4・5歳の子どもに、ゲームに必要な道具を選んでもらった。ゲーム は、机の反対側からボールを吹き飛ばすというもので、子どもは初めて遊ぶものであった。選択する べき道具は、子どもが反対側から机に届くようにするための箱であった。4つの実験を通して、3歳児 では未来についての質問に対して未熟なパフォーマンスを示し、5歳児では全体的によくできていた。 4歳児では、自分自身がこの後どんな道具が必要になるのかという質問に対して、別の子どもがどう するかという質問よりもより難しいようであった。この結果は、視点取得のスキルにおける2つめの 水準の”growth error”(Flavell et al., 1981)によるものと考えられる。このデータについて、子 どもにおける視点取得や、エピソード的認知・ナビゲーション・心の理論の間の神経相関という点と 共に議論する。