Mental rotation of dynamic, three-dimensional stimuli by 3-month-old infants


Moore D. S. & Johnson S. P.
Infancy. (in press)



要約

 心的回転では、物体が空間内で回転したときにそれがどのように見えるのかを正しく予測 するため、物体の心的イメージを変換するという処理が含まれる。本研究では、生後3ヶ月の 男女の乳児における心的回転について調べた。方法は、Moore & Johnson (2008)によって考案 された刺激とパラダイムが使用された。乳児は垂直方向の軸を中心に240°の間、前後に行き来 して回転する3次元物体の映像に対し馴化した。その後のテスト試行では、馴化試行では目にし ていない120°の角度から見たもので、馴化刺激と全く同じ物体とその鏡像の物体の2種類の映 像が提示された。その結果、女児ではテスト試行における2つの物体への注視時間には違いがみ られなかったのに対し、男児では、鏡像よりも同一の物体のほうをより長く注視した。このよ うな既知物体への選好は、刺激への馴化が比較的ゆっくりと起こるときに出現することから、 本実験の結果は3ヶ月の男児において、3次元の動的刺激を用いた心的回転は比較的難しい(しか し可能である)と解釈される。また、3〜5ヶ月児においてみられるパフォーマンスの性差の解釈 についても考察する。