Multiple neural representations of object-directed action in an imitative context

Ogawa, K. & Inui, T.

Experimental Brain Research, 216: 61-69



要約

物体指向的行為は、低次な運動パターンから高次な行為の目標にわたる複数の側面で構成される。ヒトのミラーニューロン・システム(MNS)が観察した行為の理解・模倣に関係していることは先行研究で示されているものの、行為表象のどの階層がMNSの活動に反映されるのか、正確にはわかっていない。本研究では、行為の模倣における神経基盤の多様な表現を明らかにするために、乳児の行動研究で用いられるimitation matching taskとfMRIを用いた。実験では、「ペンをつかんで2つあるカップのどちらかに入れる」2つの動画を連続して呈示した。実験参加者は、「最初の動画の行為者(actor)の行為が、2つ目の動画の模倣者(imitator)に正確に模倣されているか」、以下の4つの点で判断することが求められた:行為の目標、操作の方法、使用した効果器、動きの軌跡。同一の刺激セットを使用したにもかかわらず、2つの行為を見た実験参加者の判断によって、異なる脳領域が活性化した。本研究では、他動詞的行為の多様な側面の理解に、異なる脳領域が関わっていて、観察者自身の行為産出時の視覚運動経路と大きく一致していることが示された。