カンガルーケアの効果―行動パターンの研究から(予報)―
金澤忠博、北島博之、小瀬羅幸恵、中農浩子、山本悦代、藤村正哲、糸魚川直祐
Neonatal Care,2004 ,vol.17 ,no.2 ,p.28-35

要約

カンガルーケア(KC)とは、裸の赤ちゃんを母親の裸の胸に抱いて皮膚と皮膚とを接触させる育児方法で、現在では日本を含め世界中の医療施設で取り入れられるようになってきている。その効果については、さまざまな報告がなされており、その中には低体温発症率の低下、母乳保育の割合の増加、児の体重増加の促進、退院期間の短縮、感染の発症率の低下、呼吸器疾患の減少、母親の有能感の向上などが含まれる。その効果は退院までの児の身体発達や感染症等の疾病の発症率などに関するものが中心で、退院後の母子関係への影響を長期にわたって追跡した研究はほとんどない。本研究は、NICUにおいてカンガルーケアを経験した母子と経験しなかった母子について、修正1歳半の時点での母子関係の特徴を行動観察により分析し、カンガルーケアが母子関係に及ぼす長期的な影響を実証的に明らかにすることを目的とする