Infant pointing serves an interrogative function
乳児の指さしは疑問を表す機能を果たす

Begus, K. and Southgate, V. (2012)

Developmental Science, 15, 611-617



要約

近年、乳児の指さし行動の背後にあるモチベーションやその機能についての関心が再び高まっている。早期の指さしは他者と注意や興味を共有するモチベーションを反映しているという見解で、多くの研究は収束してきた。この見解のもとでは、指さしの最大の機能とは注意の共有それ自体であり、協力や協調に向かって適応づけられることは、ヒトの社会的認知に特異的な早期の兆候であるとされる。今回の研究では、指さしの目標とは注意の共有そのものではなく、注意の共有の結果として乳児が受けとる、情報を含んだ応答であるという別の仮説について検証した。乳児が実際には情報を得るために指さしをしているとすれば、指さしはその情報を提供する他者の能力によって調整されるはずである。実験1では、明らかに知識豊富な実験者と交流した16ヶ月児は、無知な実験者と関わった乳児に比べて、新奇物体に対して有意に多くの指さしを行った。実験2では、この結果は乳児の指さしに対する実験者のさまざまな応答のためというよりもむしろ、実験者の能力によるものであるということを確認した。本研究の結果から、乳児期における指さしの機能のひとつは他者から情報を得ることであり、乳児は有能に情報を提供できるとわかった人たちから選択的に望んだ情報を引き出すのだということが示唆される。