Insensitivity to social reputation in autism
自閉症者における社会的評判への非感受性


Izuma, K., Matsumoto, K., Camerer, C. F., and Adolphs, R. (2011)
PNAS


要約

ヒトは他人に見られているのを知っている時、より向社会的なふるまいをするものである、という日常的な観察は、行動経済学、社会心理学、認知神経科学の研究によって証明された。この効果は、自分の社会的な評判を向上させるというインセンティヴによって媒介され、他人が自分のことをどう思っているのかを表象する我々の能力に基づく、ヒト特異的で、もしかするとヒトユニークな動機であると考えられている。ここでは、社会的評判の効果は自閉症者(互恵的な社会的インタラクションにおける障害によって部分的に特徴づけられるが、認知的な要因を見つけるのが難しい発達障害)においては選択的に障害がある、という仮説を検証した。観察者がいる、あるいはいない状態で、実際の慈善寄付を頼まれた時、対応する健常なコントロール群は、観察者がいない時よりもいるときにより多くの寄付を行い、この結果は先行研究の結果を再現した。反対に、高機能自閉症者はこの課題において、観察者の存在に影響されることはなかった。しかしながら、両グループの参加者は、連続遂行課題においては観察者の存在によってより良い成績を修めた。このことは、自閉症者における一般的な社会的促進は損傷を受けていないことを示唆する。本結果は、自閉症者は他人が自分のことをどのように考えるかということを考慮する能力が欠けていることを主張し、社会的評判の効果を仲介する特異的な神経システム説を支持するものである。