Infant's visual preference for facial traits associated with adult attractiveness judgment:Data from eye-tracking
乳児における成人の魅力評価に関連した顔の特徴に対する視覚的選好:アイトラッキングのデータから

Griffey, J. A., & Little, A. C. (2014).

Infant Behavior and Development, 37: 268-275.


要約

顔の魅力に対するヒトの選好は,乳児期の発達の初期段階に現れる。数多くの研究で,乳児は顔の魅力に対して頑健な選好を示すことが明らかとなっており,乳児は成人が判断した物理的に魅力的な顔を(そうではない顔よりも)長く注視する。しかしながら,顔のどの特徴をベースとしてこの選好が生じているのかは明らかではない。対照的に,成人を対象とした研究では,顔の空間的特徴の多くが魅力的な顔の選好の原因になりうることを明らかにしている。本研究の目的は,アイトラッカーを用いて乳児の視覚的選好を測定し,それについて言及することである。顔刺激には,成人の研究で魅力評価に影響を及ぼすことが知られている左右対称性,平均性,性的二型性の3つの特徴を操作した顔を用いた。月齢12〜24か月の乳児64名(男36名,女28名)が実験に参加した。3つの顔の特徴次元のうちの1つを調べるため,参加児は視覚一対比較(visual paired comparison: VPC)課題に取り組んだ。その結果,乳児は成人が示した選好と同様に,対称顔に対して視覚的選好を示した。また,成人と同様に,乳児は女性的な顔に対しても選好を示した。非平均顔(示差性の高い顔)に対する視覚的選好もみられたが,成人実験で確認されたパターンとは逆のパターンを示した。これらの結果は, 12〜24か月児における成人顔の魅力に対する評価は,すべてではないにしてもいくぶんかは成人が判断する魅力的な顔の特徴がベースとなっているといえる。