A language-familiarity effect for speaker discrimination without comprehension.
理解を伴わない話者の識別にあたえる言語親密性の効果

Fleming, D., Giordano, B. L., Caldara, R., & Belin, P. (2014).

Proceedings of the National Academy of Sciences, 111(38), 13795-13798.


要約

話者の識別への言語親密性の影響は「ヒトの声の認識は言語能力に依存している」と主張されているぐらい、確立されたものである[Perrachione TK, Del Tufo SN, Gabrieli JDE (2011) Science 333(6042):595]。しかしながら、7ヶ月児は発話理解能力が限られているにもかかわらず、外国語話者よりも母国語話者の識別がよりよくできる[Johnson EK, Westrek E, Nazzi T, Cutler A (2011) Dev Sci 14(5):1002-1011]。このことは、話者の識別は発話の理解能力よりも母国語の音構造への親密性に依存するかもしれないことを示唆する。この仮説を検討するために、中国語・英語母語話者の成人に逆再生されて理解不能になった英語と中国語の文のペアを聞かせ、その相違を評価させた。すると、このような条件下でさえ、言語親密性効果は観察された。文の意味が理解できないにもかかわらず、中国語母語話者も英語母語話者も、外国語話者のペアよりも母国語話者のペアの方がより似ていないと評価した。我々のデータは言語親密性の効果は理解に基づくものではなく、母国語の音韻への親密性に基づくものであることを示す。この効果は、顔認知における他人種効果と類似したメカニズムから生じるものかもしれない。