Asian infants show preference for own-race but not other-race female faces: the role of infant caregiving arrangements.


Liu, S., Xiao, N. G., Quinn, P. C., Zhu, D., Ge, L., Pascalis, O., & Lee, K. (2015).

Frontiers in psychology, 6:593.


要約

これまでの研究では、3,4ヶ月児が主な世話を受けている保護者の性別と合う性別の顔をよく見ると示されている(Quinn et al., 2002)。さらに、この性別選好は自人種顔では見られるが他人種顔では見られないという(Quinn et al., 2008)。しかし、これまでの研究では3-4ヶ月の乳児を対象とし、それ以降の発達的変化はあまり研究されてこなかった。加えて、これらの研究はすべて白人乳児を対象としたものであり、保育環境や文化の異なる乳児における検討が必要である。本研究では、3,6,9ヶ月のアジア人乳児を対象として性別の選好を調べた。その結果、3,6ヶ月児はアジア人女性顔への選好を見せたが9ヶ月児は選好を示さなかった。また、この選好は累積的な男性顔の経験と相関が見られた。白人顔に対しては、男性顔・女性顔どちらへも選好は見られなかった。これらの結果は、これまで示されてきた女性顔選好は西洋文化の保育環境によるものではなく、アジア人乳児でも「他人種顔では女性顔選好が見られない」という結果を強化した。