The communication of culturally dominant modes of attention from parents to children: a comparison of Canadian and Japanese parent-child conversations during a joint scene description task.
親から子へ伝達される文化支配的な注意様式:場面描写課題におけるカナダと日本の親子間の会話の比較

Senzaki, S., Masuda, T., Takada, A., & Okada, H. (2016).

PloS one, 11(1), e0147199.


要約

先行研究の知見によると、視覚情報を与えられた際、北米の大学生は選択的に中心物に注意を向けるのに対し、東アジアの大学生は背景情報により敏感である。しかし、これらの違いがどのように文化や社会化過程によって駆動されるかは、ほとんどわかっていない。本研究では、2つの実験を実施し、幼児とその親がどのように文化特異的な注意様式(選択的注意v.s. 文脈に敏感な注意)を使用するのかを検討した。我々は、文化特異的な注意様式はゆっくり学習され、親子の会話経験が注意様式の発達に寄与していると予測した。 実験1は幼児単独でのパフォーマンスを検討するものであり、短いアニメーションを見た後、そのアニメーションの描写をするという、場面描写課題中のカナダと日本の幼児(4-6歳児vs. 7-9歳児)の注意様式を比較した。その結果、9歳までには、この課題のシナリオで文化特異的な注意様式の原始的なサインが見られるものの、単独での課題参加中は、注意の有意な文化間の差は見られないことを確認した。実験2では、同じ課題を親子ペアで実施した。その結果、親は、文化によって異なる方法で子とコミュニケーションをとっており、その様式は、先行研究の文化比較における、大学生間の注意の差を再現した。さらに、幼児の文化特異的な描写スタイルは年齢とともに優位に増加した。年少児(4-6歳児)による描写が文化間の差を示さなかったのとは異なり、年長児(7-9歳児)による描写は注意の文化間の違いを示した。文化特異的な注意様式の発達における親の役割の重要性とその他の促進剤の可能性について、議論した。