Pupillary Contagion in Infancy: Evidence for Spontaneous Transfer of Arousal
乳児期における瞳孔伝染:覚醒の自発的移行に対するエビデンス

Fawcett, C., Wesevich, V., & Gredeback, G. (2016).

Psychological Science, Online First, published on May 9.


要約

瞳孔伝染―他者の瞳孔サイズを観察することにより自身の瞳孔サイズが変化する反応―が大人で確認されており、瞳孔という生理的手がかりを使用して、覚醒や内的状態が個人間で移行されるものと捉えられている。この現象を発達的に検証することは、その起源やメカニズムについての洞察を与えうる。よって、乳児期においてもこのような自動的な瞳孔の調整が生じるかどうかを確認する必要がある。本研究では、生後6か月および9か月児を対象に、大小の瞳孔を有した図式的に描かれた目(中の黒い部分が大きいもしくは小さい同心円)を提示し、刺激注視中の乳児の瞳孔サイズを測定した。統制刺激として上記と同様の四角い図形も提示した。どちらの年齢群でも、瞳孔が小さい図形よりも大きい図形を見た方が、乳児自身の瞳孔サイズも大きくなっていた。しかしながら、四角い図形ではそのような効果は見られなかった。この結果により、乳児は、他者の内的状態の手がかりに対する感受性や反応性があり、このメカニズムは初期の社会性発達に影響を与えていると考えられる。