Statistical treatment of looking-time data.
注視時間データの統計的処理

Csibra G, Hernik M, Mascaro O, Tatone D, & Lengyel M. (2016).

Developmental Psychology, Vol 52(4), Apr 2016, 521-536.


要約

注視時間は、乳児の認知に関する実験的研究においてよく用いられる測度である。私たちは、乳幼児研究での注視時間の処理についての提言をするために、参加者全体にわたる注視時間の統計的な分布を分析した。私達の分析では、新規な、もしくは期待していなかった刺激に対する注視時間がより長くなることを予測する一般的な被験者内実験計画に焦点を当てた。私たちは、個々の参加者のデータを含む筆者グループ内の注視時間データ(47 experiments, 1,584 observations)と、論文において公開されている集団レベルでの注視時間の統計データ(149 experiments from 33 articles)の2つのソースからのデータを解析した。私たちは、注視時間は参加者全体にわたって対数正規分布に従うこと、それ故にパラメトリックな統計分析をする前に常に対数変換すべきであるということを実証した。私たちは、注視時間研究における有意な結果についての標準的な効果量を推定することで、サンプルサイズの設定についての提言を可能にした。私たちは、注視時間を用いた研究における効果量の分布に関する我々の推定を、ベイズ統計によって解析される実験のデザインに用いる方法を提示し、その方法においては実験者は前もってサンプルサイズよりも予想される効果量を設定する必要があることを示す。私たちは、注視時間の実験の両方のセットにおいてこの方法の頑健性を検証した。