Infants’ preferences for native speakers are associated with an expectation of information.
乳児の母国語話者への選好は情報を得ることに関する期待と関連している。

Begus, K., Gliga, T., & Southgate, V. (2016).

Proceedings of the National Academy of Sciences, 113(44), 12397-12402.


要約

ヒトが同じ集団に属する他者を好むことはしばしば言及されているが、この内集団構成員のへの高評価は、発達初期に根付くものであるようだ。生後12ヶ月が経つよりも前に、乳児は早くも人種や母語などの同じ集団の構成員であることの手がかりを示す他者に対して行動的な選好を示すが、そのような選択にどのような機能があるのかについては不明瞭なままである。我々は、これらの社会的バイアスの1つである、母語話者への選好を検討し、この選好が乳児の情報獲得のモチベーションおよび母語話者とのやり取りが学習の良い機会を与えてくれるだろうという期待に起因するものであることを提案する。この仮説を検討するために、我々は脳波を計測し、成人において積極的で選択的な情報の符号化の準備の指標とされるθ波の活動を検討した。実験1では、情報を受け取ることが予測できる状況下で11ヶ月児のθ波の活動が上昇することを確認した。そこで、この予測的なθ波の活動を用いて、実験2では、乳児の母語、あるいは非母語で話す社会的なパートナーと対峙した時の11ヶ月児の予測を検討した。その結果、乳児が母語話者から情報を受け取ると予測した時に、θ波の大きな上昇が観察された。このことは、乳児が外国語話者からよりも、母語話者から情報を学習する準備をしていたことを示唆する。先行研究では、乳児は知識のある他者とやり取りをすることを好むことが示されているが、今回の結果はそのような情報収集の動機もまた、乳児の示す母語話者への選好を支えているかもしれないという証拠を提供する。