Longitudinal analysis of early semantic networks preferential attachment or preferential acquisition?.


Hills, T. T., Maouene, M., Maouene, J., Sheya, A., & Smith, L. (2009).

Psychological Science, 20(6), 729-739.


要約

成人の意味ネットワークの解析によって、優先的選択(preferential attachment)による学習メカニズムが示唆されている。優先的選択は、より多く結びつきをもつ既知の語ほど、それに関係する語が語彙のなかに入りやすい、というものだ。本研究では、優先的選択に代わる2つの成長の原理を紹介・検証する。優先的獲得(preferential acquisition)では、語が語彙に加わるのは、よく結びついた(既知の)語に関係するからではなく、学習環境における他の語によく結びついているから、というものである。連合による誘引(lure of the associations)は、新規な語は既知の語との結びつきに応じて語彙に加わりやすくなるというものである。本研究では、生後30ヶ月までに子どもが発達させた130個の名詞のネットワークを縦断的に解析することで、この2つの成長の原理を検証した。本研究では、語と語の間のリンクを語の特徴(の共通性)によって表現したネットワークと、語から語への連想によって表現したネットワークを用いた。特徴のネットワークでは、どの成長モデルを用いても語彙の獲得月齢を予測することはできなかった。連想のネットワークは優先的獲得(preferential acquisition)によって成長し、最も良いモデルは語の頻度・類似する音韻の語の数を含むものであり、新規な語が結びつきをもつ学習環境は生後30ヶ月児において獲得される語彙のネットワークで定義されるものであった。