Children’s and adults’ use of verbal information to visually anticipate others’ actions: A study on explicit and implicit social-cognitive processing.
子どもと成人の他者の行動への視線的予測における言語情報の使用:explicitとimplicitな社会的認知処理

Paulus, M., Schuwerk, T., Sodian, B., & Ganglmayer, K. (2017).

Cognition, 160, 145-152.


要約

近年の仮説では、社会的認知は2つの異なるタイプの情報処理によるとされている。1つはimplicitな行動ベースの処理、もう1つはexplicitな言語ベースの処理である。本研究はimplicitとexplicitの社会的認知情報が相互作用しているかを、発達初期の子どもと成人における他者の行動予測時の言語情報の使用(i.e., explicit)を調べることで検討した。アイトラッキングを用いて視線による予測をimplicitな処理として計測した。実験1では1.5、2.5、3.5歳児と成人を対象に、2つのターゲットに向かって動くエージェントがどちらに向かうか言語的に手がかりが与えられた。その結果、3.5歳児と成人では言語情報を使用して正しく行動を予測できたのに対して、1.5。2.5歳児ではできなかった。しかし、実験2と実験3の結果から、2.5歳児はexplicitな情報をexplicitな回答に正しく使用することはでき(実験2)、統計的情報を他者の行動予測に用いることもできる(実験3)ことが示された。全体にわたって、本研究はヒトの社会的認知には2つのタイプがあるとする仮説に沿っていた。結果から、3歳前後からそれらの2つの処理が互いに影響する可能性が考えられる。