Semantic facilitation in bilingual first language acquisition.


Bilson, S., Yoshida, H., Tran, C. D., Woods, E. A., & Hills, T. T. (2015).

Cognition, 140, 122-134.


要約

 最初の言語学習に取り組むバイリンガル児は、モノリンガル児に比べて、初期の言語学習の速度・順番に影響を与えるような、独自の問題に直面する。本研究では、生後6か月から7歳までの435名の幼児(そのうち181名は英語を学んだバイリンガル児)の発した語彙を比較することによって、モノリンガル児がバイリンガル児よりも、英語の語彙や言葉の概念を獲得することを明らかにした。しかし、バイリンガル児には、モノリンガル児の先行研究で見つかった効果―より結びつきの強い語彙を好んで学習する―が強化されていた。モノリンガル児もバイリンガル児も、最もあてはまりが良い言語学習のモデルは同様のものだったが、語彙ネットワークの構造やその成長の解析によって、モノリンガル児とバイリンガル児は英語の語彙を異なる順序で学習していることが明らかになった。さらに、2名の独立したモノリンガル児のモデルと比較することによって、バイリンガル児は翻訳等価な語彙をより発することがわかった。本研究の結果はバイリンガルの最初の言語学習の創発的説明(一方の言語における語彙の学習が、もう一方の言語のおけるその語彙の獲得を促進する)を支持するものである。