Children’s collaboration induces fairness rather than generosity.
子どもの協力は寛大さよりも公平さを生じさせる

Corbit J, McAuliffe K, Callaghan TC, Blake PR, & Warneken F. (2017).

Cognition, 168, 344-356.


要約

 多様な社会にわたって、子どもたちは不利な立場に置かれているときの資源分配を拒否する(不利な場合の不公平忌避:disadvantageous inequity aversion; DI)。また、特定の社会において、高年齢の子どもたちは自分に有利な分配もまた拒否する(有利な場合の不公平忌避:advantageous inequity aversion; AI)。他の研究は、協力すると、子どもが分かち合うことによって不公平を減少させることを明らかにしている。しかし、協力が共有を促進させることについて、向社会性が向上したことによるのか(寛容仮説)、公平な傾向がより強力なものになることによるのか(公平仮説)は不明のままである。ここで、私たちは、これらの仮説の曖昧さをなくすことのできる不公平忌避の尺度を用いる。私たちは、AIは示さないがDIは示すインドの田舎から7-13歳の子どもを、AIもDIも示すカナダの田舎から4-10歳の子どもを調査した。子どものペアは、後のDIおよびAIのテストで用いられる飴を手に入れるために、協力して、もしくは並行して、課題を行った。結果は、どちらの社会でも協力はDIの申し出を受け入れることを促進しなかったことを示し、寛容仮説に相反する証拠を提供した。しかし、どちらの社会においても、高年齢の子どもたちは、協力の後にのみAIを示し、並行した作業では示さなかった。インドの子どもたちにおいては、それまで観察されていなかった年齢でAIを示し、カナダの子どもたちは児童期の早期からAIを示した。このことは、公平仮説に一致して、協力が公平を達成するために利益を犠牲にする意欲を生じさせることを示唆する。