Metrical categories in infancy and adulthood
Hannon, E.E., & Trehub, S.E. (2005)
Psyhological science 16, 48-55

要約

単純な長さの比率についての、生来の知覚的なバイアスは、音楽のリズムパターンの基礎であると考えられている。この仮説を検証するために、聞き手に韻律構成の違う民族音楽のメロディー(単純なものと複雑なもの)を聞かせ、その後、元々の韻律構成を大きく変えたものと,構成は保ったまま変えたものを聞かせるテストを行った。北アメリカでは単純な拍子が主だが、他の多くの音楽文化では複雑な拍子をとるのが普通である。実験1では、北アメリカ人の成人が、構成を崩したものを、構成を保ったままに変化したものよりも、元のバーションと似ていないと評定した。この評定は、単純な韻律パターンについてであり、複雑な韻律パターンではそうではなかった。実験2では、ブルガリアまたはマケドニア人の成人が、構成を崩す変化と保つ変化に対して、異なる評定値を示した。単純な韻律でも複雑な韻律でも、同様であった。実験3では、6ヶ月児が、構成を崩す変化と保つ変化に対して、どちらの韻律(単純・複雑)でも、異なる反応を示した。これらの結果は、北アメリカの成人の韻律バイアスが、単純な拍子への処理の傾向というよりも、文化的適応の結果であることを示唆している。