Altruistic Helping in Human Infants and Young Chimpanzees.
(ヒトの幼児と若いチンパンジーにおける利他的援助行動)
Warneken, F., & Tomasello, M. (2006).
Science, 311, 1301-1303.


要約

ヒトは、他者が何らかの目的を達成するのを助けるという行為を普通に行っている。このような行為は、助けてもすぐには何の見返りも得られないといった状況や、相手が全く知らない人であるといった状況でもみられる。このような、血縁関係のない相手への利他行動というのは、進化的にはかなりレアなことで、理論家の中には、そのような行動はヒト特有のものであると主張する人もいる。
本研究では、言語を獲得する前か、ちょうど獲得したくらいの、わずか18ヶ月のヒトの乳児が、様々なシチュエーションにおいて、他者が目的を達成しようとするのを助けることができることを示す。このようなことが可能となるには、助けようとする相手の「目的」が何であるのかを理解するとともに、利他的な動機を持ち合わせている必要がある。また、若いチンパンジーも、それほど強くはないものの同様の能力と動機を持ち合わせているということも示す。