Infants’ perception of goal-directed actions: development through cue-based bootstrapping
Szilvia Biro and Alan M. Leslie (2007)
Developmental Science 10 (3), 379−398.



要約

目的志向的な行動への敏感性が、生後1年以内に現れることは、広く了解されている。しかし、それがどのように現れ発達するのかについ ては、議論が続いている。一つの見方では、行動の手がかりを観察することの果たす役割が強調されている。別の見方では、その行動を産 出した、経験の果たす役割を強調している。そこで、これらの視点を一連の4実験で対比した。実験1では、6ヶ月児が、ある同一の結果をも たらす行為であれば、それがfamiliar でない人の行為であっても、目的性を帰属したことが示された。実験2と3は、12ヶ月児と9ヶ月児が、無生物の行為に目的を帰属した。この 行為には、自動性またはaction-effect を示す手がかりが含まれていた。実験4では、同一の帰結・自動操縦性・action-effect という三つの手がかりが揃っていれば、6ヶ月児でも無生物の行為に目的性をみなすことが分かった。これらの結果は、充分な行動手がかり が利用できさえすれば、実施経験が無くても、また行為者の特定の見かけとは無関係に、目的志向性の帰属が生じることを示唆した。行動 手がかりへの初期の敏感性が、その後の手がかり学習を導くとする、手がかりに基づくboot-strappingモデルを提唱する。その後の手がか りは、別の種類の目的志向性をもつ行為主体や、別のタイプの行為についての、情報をもたらす。生得的な基盤と学習の過程に結びつける ことで、手がかりに基づくbootstrappingは、乳児の目的性理解の出現に関するさまざまな視点を融合させる助けになるだろう。