The development of interpersonal strategy: Autism, theory-of-mind, cooperation and fairness
David Sally & Elisabeth Hill (2006)
Journal of Economic Psychology 27:73-97



要約

メンタライジングは、社会的インタラクションにとって不可欠な、意思決定に関わっていると考えられる。本研究では、メンタライジング と、3つのタイプの戦略的ゲーム(囚人のジレンマ、独裁者ゲーム、最後通牒ゲーム)との関係性を、自閉症児と典型発達児において検討し た。結果では、まず、典型発達児と自閉症児の間には、予測されていたほどの大きな違いはないことが明らかになった。このことから、こ れらの実験室実験では、メンタライジングの能力は必ずしも必要ではないことが示唆される。 しかしながら、重要な発見もいくつかみられた。年齢が低い子の方が、年齢が高い子よりも、最初の協力行動を取ることについて慎重であ った。また、独裁者ゲームでは、年齢が低い子の方が、分配の際の寛大さが低く、最後通牒ゲームでは相手のことを非常に気にかけた分配 を行った。自閉症児は、囚人のジレンマのいくつかのバージョンの間での戦略のシフトがうまくできなかった。また、最後通牒ゲームでは 、低い提供額を受け入れたり、公平な分配を拒否したりした。さらに、参加児の測定されたメンタライジングの能力は、囚人のジレンマで の意図的・戦略的な行動や、最後通牒ゲームでの、失敗に終わるような決定をすることの回避の説明要因となっている。