Social evaluation by preverbal infants
Hamlin, J.K., Wynn, K. & Bloom, P. (2007).
Nature, 450, 557-559.



要約

他者を評価する能力は、社会的世界を生きていく上で不可欠なものである。人間は、自分の周りにいる人の行動や意図を評価し、誰が味方で敵なのか、誰が適切な社会的パートナーで誰がそうでないのか正確に判断できなければならない。実際、すべての社会的動物は、自分を助けてくれる同種個体を認識する能力やそのような個体を自分に害を与える個体から区別する能力により利益を得ている。ヒトの大人は、行動や身体的特徴両方から即時に自動的に他者を評価するが、この能力に関する系統発生的起源や発達はよく分かっていない。ここで、我々は、6ヶ月と10ヶ月の乳児が、個人が好意を持つべき存在なのか嫌悪すべき存在なのかを判断する際に、他者に対するその個人の行動を考慮に入れることを示す。具体的には、乳児は、他者を助ける個体を他者を邪魔する個体よりも好み、中立的な個体よりも援助的な個体を好み、妨害的な個体よりも中立的な個体を好むことを示す。これらの発見は、前言語期の乳児が、個体の他者に対する行動に基づいて、その個体を評価している証拠となる。この能力は、道徳的思考・行動の基礎として働いている可能性があり、その能力が発達的に初期に出現していることは、社会的判断が生物的適応であるという見方を支持する。