大神田麻子（D3）

タイトル：「就学前児の肯定バイアス　～メカニズムと文化差～」

要旨

本研究では、就学前児がなぜ「反応バイアス」を示すのか、そのメカニズムについて、普遍的要因と文化的要因の2つの要因から探ることを目的とする。反応バイアスとは、就学前児に特に見られる反応様式で、たとえば、大人の「はい／いいえ」質問に対してなんでも「はい」と答えてしまう「肯定バイアス」など、質問者に対するある一定の反応のことを言う。本研究では、主に「肯定バイアス」に焦点をあてて検討する。第一の目的は、肯定バイアスの普遍的メカニズムを探ることで、質問内容や質問者の効果など、どのような状況で肯定バイアスが起きるかどうかについて調べることである。第二の目的は、日本の子どもの反応バイアスと他国の子どもの反応バイアスを比較し、文化的要因について探ることである。　いくつかの研究より、２～３歳の子どもは、いろいろな種類の「はい／いいえ」質問に対して強い肯定バイアスを示すこと、母親が質問者であっても肯定バイアスが生じることが分かった。肯定バイアスはどのような「はい／いいえ」質問に対しても生じる可能性が高い。また、肯定バイアスは文化や言語に関わらず存在することが分かった。また、「はい／いいえ」質問に対する回答の仕方は、文化によって異なる可能性も示唆された。