池田 彩夏 (D2)

タイトル:
日本語学習児におけるInfant-Directed SpeechとAdult-Directed Speechの使い分けの理解


要旨

 私たち大人は、聞き手の年齢やその地位、母語に合わせて自らの話し方を柔軟に変化させ、円滑なコミュニケーションを図っている。例えば、乳幼児に話しかけるときは、Infant-directed seppch(IDS)を使い、目上の人と話すときには敬語を用いる。話し方の選択が不適切であることは、時にコミュニケーションを阻害し、また人間関係に軋轢を生むこともある。したがって、適切な話し方を適切な場面で使えるようになることは、乳幼児の言語獲得の1つのトピックである。先行研究より、このような話し方の使い分けは幼児期から始まることが分かっているが、その理解がいつごろ、どのようにすすむのか、また、彼らが話し方の使い分けをどのようにとらえているのかについてはわかっていない。
 本発表では、特にIDSとADSに焦点を当て、言語獲得期の2歳前後の乳幼児が、話し方が聞き手によって変わることを理解しているか、また、それは話し手によって変わるものではないと理解しているかを検討した。さらに、IDSやADSを含め、他の離し方の使い分けに関しても学習が進み、かつ自らもその使い分けができるようになった乳児が、その使い分けが適切にできる人とそうでない人をどのように評価するのかに関して、予備的なデータを報告する。