No.1063-1(2021/7/8)

Disentangling perceptual awareness from nonconscious processing in rhesus monkeys (Macaca mulatta).

(アカゲザルにおける知覚的気づきと無意識的な処理を切り分ける)


Ben-Haim M. S., Dal Monte, O., Fagan, N. A., Dunham, Y., Hassin, R. R., Chang, S. W., Santos, L. R. (2021).
Proceedings of the National Academy of Sciences B, 118(15), e2017543118.

研究者は、極めて知的な行動をとる動物に意識的な気づきがあるかについて議論してきたが、多くのヒトの複雑な行動と高次機能が意識的な気づきなしに成立することから、動物に気づきがあるのか単に条件反射的、無意識的な行動か切り分けるのは不可能だと考えられてきた。本研究はこの問題を解決するための実証的なアプローチを開発した。刺激の気づきがある場合とそうでない場合で全く異なる反応を示すような、非意識的な処理と意識的な処理で生じるクロスオーバーな二重乖離を利用した。これまで、ヒト以外の動物でこのような乖離が生じるかは調べられていない。7つの実験を通して、先ず、既存の二重乖離タスクと新たな非言語版のタスクを用いて、ヒトにおいてこのような行動特性がみられることを確認した。次に、アカゲザル(Macaca Mulatta)において同様の行動特性を確認した。これらの結果は、ヒト以外の霊長類においても2つの異なる処理モードが存在する確かな証拠となる。この実証的アプローチは、ヒト以外の動物において意識的な視覚的気づきと非意識的な処理を切り分け、動物界の知的行動を制御するプロセスを探る際に曖昧さを排除することを可能にする。本研究の結果は、ヒト以外の種においても非意識的な処理と機能的でヒトに類する視覚的気づきが存在することを強く支持する。    発表者:幡地