No.1072-1(2021/9/30)

Capuchin monkeys (sometimes) go when they know: Confidence movements in Sapajus apella.

(フサオマキザルは知っている時には(時には)行く:フサオマキザルにおける自信の動き)


Smith, T. R, Parrish, A. E., Creamer, C., Rossettie, M., Beran, M. J. (2020).
Cognition, 199, 104237.

フサオマキザル(Sapajus apella)のメタ認知の証拠を検証するために,チンパンジーの研究で使用されたパラダイムを用いて自信のある移動を分析した。フサオマキザルは,様々なメタ認知パラダイムにおいて,認知モニタリング処理に制限があることを示していることから,メタ認知の比較研究を行う上で興味深いモデル種である。本研究では,サルはある場所で遅延見本合わせ記憶課題(DMTS)を行い,正解に対して別の場所で報酬を与えられた。ある場所から別の場所への移動はいつでも可能だが,反応と報酬のフィードバックの間の動きは反応の正確さにおける自信を反映していると考えられる。重要なことは,DMTSテストが時折「サンプルなし」試行を含んでいたことである。この試行は見本刺激の呈示なしにスタートし,1秒間隔で反応オプションが呈示され,サルの反応はチャンスレベルになる。私たちはサルが(1)保持時間が長いと正確さが低下する(自信が持てない),(2)正解試行では不正解試行よりも早くディスペンサーに移動することが多い,(3)反応の速さと移動の速さに関連があると予測した。反応時間とフィードバック前に報酬位置への「行く」か「行かない」かの自信のある移動を分析した結果,サルは彼らの反応の確信度を監視する能力があることが示唆された。しかし,チンパンジーと比較して,サルの自信のある移動は正確性や柔軟さが低かった。総合して,このパラダイムはヒト以外の動物がもつ潜在的なメタ認知能力を明らかにすることができる。    発表者:黒島