No.109-2(2000/3/23)

Auditory-visual stimulus pairing enhances perceptual learning in a songbird.
(聴覚と視覚刺激を対提示すると鳴禽の知覚的学習は促進される)

Hultsch ,H., Schluss, F., & Todt, D.
Animal Behaviour, 1999, 58, 143-149.

多くの鳴禽類において歌学習は、社会的変数(例、「教師」の行動)の影響を受ける。このことは聴覚と視覚システムの両方が獲得プロセスに含まれるべきであるということを意味している。視覚刺激が歌の獲得に影響しうるのか否か、またどのように影響するのかを調べるために、我々は「教師」の方法による影響をテストした。聴覚刺激(種に特有な歌)は明確な非聴覚刺激(ストロボの光:ストロボ条件)と対提示された。被験体はヒトに育てられたオスのサヨナキドリ(Luscinia megarhynchos)であった。コントロールとして、被験体は光刺激無しの「教師」に遭遇した(コントロール条件)。9ヶ月後に録音されたオスたちの歌から、ストロボ条件では歌パターンの獲得が促進されていることが明らかとなった。この条件では、トリたちはコントロール条件よりも多くの歌を獲得しており、たいていの場合、20〜30%のレパートリーの増加が観察された。さらに、ストロボ条件での模倣はコントロール条件よりも質が良かった。これはストロボ条件では「完全な」歌の模倣が有意に増加したためであった。この効果はストロボ条件に対して特に反応する内在的要素(例、注意や覚醒)を介して現れるというのが我々の結論である。この発見は歌学習のメカニズムが複数の感覚からの情報を処理するようにできていることも示している。このように、通常は社会的変数として扱われている複合刺激を、さらに詳しく調べていくことが今後望まれるだろう。

(桑畑)