No.114-1(2000/4/27)

Three-dimensional object recognition based on the combination of views.
(景観の結合に基づく3次元物体の認識)

Ullman, S.
Cognition, 1998, 67, 21-44.

同一の3次元物体であっても、観察方位・距離・光源の位置などによって投影像が様々に変化するという事実が、視覚による物体認知を複雑なものに している。この論文では、観察方位の影響に対処するために、物体の少数の景観の組み合わせを用いる計算論的アプローチについて述べる。まず最初に、過去の研究に基づくアプローチを概観する。次に、景観結合アプローチでは、単一の物体の複数の景観ではなく、クラス内のいくつかの成員の景観を利用することでクラス内の成員に対する汎化が獲得されることを示す。これは、心理学的知見にも一致する。また、非線型結合の利用、(2次元情報に対する意味での)3次元情報の利用、正確な同定のための大雑把なクラス分けの役割といった内容を含む、基礎理論の様々な拡張についても考察される。最後に、景観結合アプローチの心理物理学的、生物学的側面が論じられる。物体認知を表象を伴う高次の活動とみなすアプローチに対し、景観結合アプローチでは物体認知が本質的に単純かつ画像処理的過程であることが強調される。

(関)