Infants parse dynamic action.
( 乳児における動的行為の解析)Baldwin, D. A., Baird, J. A., Saylor, M. M., & Clark, M. A.
Child Development, 2001, 72 (3), 708-717.他者の行動を観察する際,乳児は複雑な動きの流れに遭遇することになる.その動きは連続していて,他者の意図を知らせてくれるような境目はほとんどない.本研究では,2つの実験(それぞれN = 16)により,10〜11ヶ月児が,他者が見せる意図的行為の開始から完遂までのひと区切りを解析するスキルをもつかについて調べた.一連の日常的行為の映像−他者がある目的的行為を見せる映像−に馴化したのち,乳児には同じ映像を操作して作った,その他者の目的的行為の途中で静止する/目的が完遂された時点で静止する映像を呈示した(実験1).結果,乳児は前者を呈示されたときに脱馴化を見せた.また,乳児が見せたこの選好は,ふたつのテスト映像のもつsalienceの違いでないことが確かめられた(実験2).本研究の結果から,乳児が意図的行為をそこに含まれる構造に分解できること,そして,進行中の行動において,そのような構造について解析できることが示唆されたと言える.そのような解析のスキルが意図理解の発達の前提条件になると考えられる.(小杉)