Birth, kind and naive biology.
(出生、種、素朴生物学)
Solomon, G. E. A.
Developmental Science, 2002, 5(2), 213-218.生物学や人種の素朴理論の獲得に関する最近の論争の多くは、未就学児でさえ生物学的遺伝を理解しているという主張を中心としてきた。子はその種に特有の特徴をもつであろうという信念が何を意味するのかは、未解決の問題である。このような先天的可能性に対する本質主義者的な信念が、人類(あるいは人種)の生物学的遺伝に対する領域固有的な理解を指す必要はないことを論じる。研究1では、出生時に換えられた課題(Switched-at-birth task)において、未就学児は、ある養子に出された女の子が生みの親と人種が似ているように、シャツの色も似ていると判断する傾向があることが示された。その課題を変形した研究2では、4歳児は、その女の子が生みの親より育ての親と似ていると判断する傾向があることが示された。このことは、出生の起源に関する概念が4歳児における推論の中心ではないことを示唆する。ここでの結果は、未就学児がある本質主義者的な様式で人類について推論するという主張と矛盾しないが、このような推論は生物学の素朴理論によって支えられているという一般的な主張を根底から揺さぶる。この発見は、認知的な帰結によるばかりではなく、文化的な帰結にもよる。
(浅水)