No.321-1(2004/12/9)

Vocal imitation in blindfolded zebra finches (Taeniopygia guttata) is facilitated in the presence of a non-singing conspecific female

(キンカチョウにおける鳴き声の模倣は、鳴かない同種のメスがいるときに促進される)

Adret P (2004)
Journal of Ethology, 22:29-35

オスのキンカチョウ(Taeniopygia guttata)における鳴き声の獲得は、学習者から見える場所にいる、鳴き声の教授者としてふるまう同種のオスからの模倣による、学習のプロセスであると考えられる。このプロセスにおいて、鳴かない同種のメスが果たしている役割については、ほとんど報告されていない。目隠しをされた若いオスの鳴き声の学習に、社会的接触がどのような影響をおよぼすか、母親だけに育てられた個体と、両親に育てられた個体の両方について検討した。鳴き声の学習にとって敏感な期間である、生後約35〜65 日に両目を目隠しされた学習者は、メスの兄弟がいる条件下で教授されたときに、メスがいない条件下で教授されたときよりも有意に多く、同じケージにいる大人のオスの鳴き声をコピーした。興味深いことに、この効果は、両親に育てられた個体よりも、母親だけに育てられた個体でより顕著であった。私は、視覚的手がかりがない状況でも、物理的接触があれば鳴き声の模倣は生起すると結論づける。今回の結果は、オスの鳴鳥が鳴き声を獲得する際の、鳴かないメスによる社会的刺激(social stimulation)の例を示している。

発表者:宮田