No.402-1(2006/10/26)

Whorf hypothesis is supported in the right visual field but not the left.

(ウォーフ仮説は、右視野で支持され、左視野では支持されない)

Gilbert AL, Regier T, Kay P & Ivry RB.(2006)
PNAS, 103,489-494.

言語は知覚に影響するのかという問題は、主に異なる言語を比較したデータをもとに議論されており、脳機能が考慮されることはなかった。神経組織の性質を考慮すると、もし言語が知覚に影響するのならば、左視野においてよりも右視野においてより強く影響することが予測される。しかし、このことは検証されていない。本研究で私たちは、色の弁別課題を用い、この主張が支持されることを見出した。右視野では、ターゲットとディストラクタが異なる色名を有する場合、ターゲットに対する反応時間が早くなった。対照的に、左視野では、ターゲットとディストラクタの有する色名は反応時間に影響しなかった。さらに、参加者に言語性ワーキングメモリに負荷のかかる二次課題を行わせた場合、この傾向が失われたのに対し、空間性ワーキングメモリに負荷のかかる課題の場合は、この傾向は維持された。つまり、人々は視覚世界の右半分を母語のレンズを通して眺めているようで、このことは「言語と思考」問題に思いがけない解答を提供する。

発表者:梨原