No.405-1(2006/11/16)
When do octopuses play? Effects of repeated testing, object type, age, and food deprivation on object play in octopus vulgaris
(タコはいつ遊ぶのか?マダコにおける物体遊びへの反復試行、対象の種類、月齢、食餌剥奪の影響)
Kuba MJ, Byrne RA, Meisel DV & Mather JA .(2006)
Journal of Comparative Psychology, 120(3), 184-190.タコの遊び行動を研究することは、無脊椎動物の認知能力だけでなく、進化発達的(Phylogenetic)起源を理解する上での重要なステップである。14匹 (subadults 7, adult 7)のマダコ(Octopus vilgaris)に対して、レゴブロック2種類と食物2種類を、2レベルの食餌剥奪条件において、7日間続けて提示した。9個体がレゴに対して遊び的な 行動を示した。食餌剥奪、タコの月齢、性別による遊び的行動の生起数には、有意な差は無かった。遊び的行動が、7日間の実験のうち主に306日目に生起していたことから、遊び的行動の成立には、探索行動から遊び的行動への行動の流れが大きな影響を与えていたことが分かる。本研究でみられた、探索と慣化の期 間を過ぎた後の遊び的活動の発達パターンは、物体に対する遊び行動が物体探索に続いて起きるという仮説を支持した。もっとも近い共通祖先がこの行動特性を実現する認知的能力を持っていなかったかもしれないので、脊椎動物および無脊椎動物この行動特性の起源が同じであるとは、考えにくい。
発表者:嶋田