No.409-1(2006/12/21)
Spontaneous facial mimicry in response to dynamic facial expressions.
(ダイナミックな表情に対する自発的な顔の模倣反応)
Sato W & Yoshikawa S.(in press)
Cognition .ダイナミックな表情に対する反応では、ミラーニューロンシステムが活性化することを示唆する過去の神経科学的証拠に基づき、私達は被験者がダイナミックな表情を見ている間顔の模倣が起こることを仮定した。この仮説を調べるために、怒り/幸福の表情をしているダイナミック/静止顔をコンピュータでモーフィングしたもの(実験1)とビデオ(実験2)によって提示した。被験者の表情は実験を妨害しないようにビデオで記録され、表情コーディングシステム[FACS; Ekman,P.,& Friesen,W.V.(1978). Facial action coding system. Palo Alto, CA:Consulting Psychologist]を用いて無作為にコーディングされた。両方の実験に共通してダイナミックな刺激を提示したときには、眉をよせるといった怒りの表情に典型的な表情が、幸福顔よりも怒り顔で多く起こった。口角を上げるといった、幸福な表情に典型的な反応は、怒りの表情よりも幸福の表情を提示したときでより多く起こった。加えて、これらの行動が起こった平均潜時は、ダイナミックな表情変化提示の開始後900ms以内だった。ナイーブな評定者は被験者の表情を感情表現として認識し、その評価は被験者が見ていたダイナミックな表情と一致していた。これらの結果は、ダイナミックな表情は自発的で早い表情模倣を促進することを示唆しており、個人内での処理や個人間でのコミュニケーションの形として機能していることを示している。
発表者:服部